通訳案内士 二次プレゼンの「頻出テーマ30」の選び方と仕込み方
二次対策の記事で「頻出テーマを30個ほど準備した」と書きました。この記事では、その30個の選び方と、1テーマをどう仕込むかを掘り下げます。
大原則:30テーマは「ヤマ当て」ではない
私の本番のお題は「白神山地・七福神・おじぎ」でした。ジャンルがバラバラで、ピンポイントに当てるのは不可能です。では何のために30個準備するのか。
知らないお題を、準備済みのテーマに「接続」するためです。鹿威しが出たら「わびさび」に、地方の祭りが出たら「祭りと信仰」に持ち込む。つまり30テーマは弾薬庫であって、的中リストではありません。この発想だと、選ぶべきは「細かい知識」ではなく「応用範囲の広い根幹テーマ」になります。
前提の整理:プレゼンは「3択・2分」の試験
仕込みに入る前に、試験の形を押さえておきます。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 形式 | 提示された3つのお題から1つ選び、外国語で約2分話す |
| 位置づけ | 二次口述(1人あたり約10分)の最初のパート。後に外国語訳・実務質疑が続く |
| 選択 | どのお題で話すかは、その場で短時間で判断する |
重要なのは3択であることです。30テーマを5ジャンルに散らしておけば、「3つとも接続先すらない」事態はかなりの確率で避けられます。どれか1つを接続で戦える状態にする——これが30テーマ準備の実際の勝ち筋です。
テーマ選定の5ジャンル
バランスよく5つのジャンルから選ぶのがおすすめです。
| ジャンル | 例 | 狙い |
|---|---|---|
| 精神文化 | 禅、わびさび、おもてなし、神道と仏教 | 抽象化の受け皿。最重要 |
| 食 | 和食、寿司、ラーメン、日本酒、出汁 | 食のお題は頻出&ゲストの鉄板話題 |
| 行事・暦 | 正月、花見、お盆、祭り | 「戌の日」のような暦系お題の受け皿 |
| 観光・地理 | 富士山、京都、温泉、世界遺産、新幹線 | 場所系のお題を拾う |
| 社会・時事 | オーバーツーリズム、地震と防災、少子高齢化 | 硬めのお題(南海トラフ等)に対応 |
ポイントは精神文化ジャンルを厚くすること。ここが抽象化戦略の土台になります。テーマ選びにはPEP英語学校が無料公開しているレジュメ(過去の出題分析)も役立ちます。
30個の配分の目安
同じ30個でも、ジャンル配分で強さが変わります。
- 精神文化:8〜10個——接続先になる根幹テーマをここに集中させる
- 食/行事・暦/観光・地理:各5〜6個——定番を押さえつつ、「出汁」のような一段深いテーマも混ぜる。観光・地理は「なぜ外国人に人気なのか」の視点で組む
- 社会・時事:3〜5個——硬めのお題への保険として最低限を確保
選ぶときの3つの基準
- 接続先になれるか——そのテーマを仕込むと、他のお題にも流用が利くか
- ゲストの関心が高いか——外国人観光客がよく質問する話題は、例年の出題でも取り上げられやすい分野です
- 日本語で1分話せるか——日本語で説明できないことは外国語では話せません。まず日本語で語れるか確認を
1テーマの仕込み方:「2分の型」に流し込む
テーマを選んだら、それぞれを同じ型で仕込みます。
- 定義(それは何か・一文で)
- 背景(歴史 or 仕組み・2〜3文)
- ゲスト目線の魅力(どこで体験できるか・何が面白いか)
- 締めの定型文(どのテーマでも同じでOK・20秒稼ぐ)
この型で英語150〜200語程度にまとめると、話すとちょうど2分弱になります。原稿を書いたら必ず声に出して時間を計ること。黙読の2分と口述の2分はまったく別物です。
型の実例:「温泉」ならこう組む
- 定義——火山国の日本には全国に天然温泉が湧き、入浴は単なる衛生習慣ではなく文化である、と一文で言い切る
- 背景——古くからの湯治の伝統や、心身を清める感覚との結びつきを2〜3文で
- ゲスト目線の魅力——露天風呂や旅館滞在の体験。入浴マナーなど、ゲストが不安に感じやすい点に触れると実用的
- 締め——どのテーマでも共通の定型文で着地
骨組みをまず日本語で作り、それから外国語に起こす順番にすると、内容の薄い原稿になりません。
原稿づくりの注意点
- 難しい単語を使わない——本番で思い出せない単語は、存在しないのと同じです。平易な語彙で言い切る
- 書き言葉にしない——原稿は「話すためのメモ」。声に出して不自然な文は、その場で書き直す
- 丸暗記しない——覚えるのは流れとキーワードだけ。文単位の暗記は、1語飛んだ瞬間に全部止まります
- 数字は1テーマに1つまで——詰め込むと本番で混ざります
原稿が30個揃ってから練習を始めよう、と考えないでください。原稿づくりは「準備した気」になりやすい作業ですが、得点になるのは口から出た言葉だけです。書けたテーマから順に、声出し練習を並行させましょう。
仕込みを2倍活かす「接続マップ」
30テーマを個別に覚えるだけでなく、「このテーマはどの根幹テーマに繋がるか」を意識しておくと本番で強い。
- 金継ぎ → わびさび(不完全の美)
- きりたんぽ鍋 → 郷土食と気候
- 七福神 → 神道と仏教のゆるやかな共存
- おじぎ → おもてなし・非言語コミュニケーション
知らないお題が出た瞬間に「どれに接続するか」を考える癖を、練習段階からつけておいてください。
接続の瞬発力を鍛える練習
接続は知識ではなく反射です。過去のお題の例(戌の日、きりたんぽ鍋、金継ぎなど)をランダムに拾い、「自分の30テーマのどれに接続するか」を30秒以内に答える練習を繰り返してください。引き出しが増えるほど、本番の3択で「詰むお題」が消えていきます。
直前期の回し方
- 毎日3テーマ、ランダムに選んで声に出す(実際の試験も選択式なので、選ぶ練習も兼ねる)
- 通しで話せなかったテーマだけ原稿に戻る
- 試験1週間前からは新テーマを増やさず、手持ちの精度を上げる
ひとりで回すのに限界を感じたら、練習相手を確保しましょう。オンライン英会話を本番形式の練習台にする方法はオンライン英会話活用法に、一次試験直後から二次本番までの全体スケジュールは2ヶ月計画にまとめています。
よくある質問
まとめ
- 30テーマはヤマ当てではなく「接続先」。応用範囲の広い根幹テーマを選ぶ
- 仕込みは定義→背景→魅力→締めの型で英語150〜200語、必ず声に出して2分計測
- 精神文化ジャンル(禅・わびさび・おもてなし)を厚く。ここが抽象化の土台